1. シトクロムcはミトコンドリア依存的アポトーシスに必須か?
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辻本賀英
参照
1. アポトーシス研究を推進したブレイクスルー
キーワード
シトクロムc, ミトコンドリア, カスパーゼ
アポトーシスシグナルの多くはミトコンドリアに伝えられ(intrinsic pathway)、ミトコンドリア膜透過性亢進が起こる
その結果、ミトコンドリアから細胞質へと遊離したシトクロムc(cytochrome c: cyt c)が細胞質タンパク質Apaf-1に結合しカスパーゼ9(caspase-9)を活性化する
cyt cのアポトーシスへの重要な関与は、2000年にcyt cノックアウトマウス由来の細胞の解析から、一応の確証が得られていた
ただ、cyt cは呼吸鎖に必須のタンパク質であるため、呼吸鎖に対する影響を排除しさらに詳細に解析する目的で、最近、呼吸鎖には影響を与えないがカスパーゼ活性化能のない変異cyt cをもったノックインマウスが作製された
このマウスは、Apaf-1やカスパーゼ9ノックアウトマウスと同様に神経系の発生に異常を示した
ところが、これらのマウスから種々の細胞を取り出し、ノックアウト遺伝子のアポトーシスへの影響を調べたところ、cyt c-KI胚線維芽細胞は種々のアポトーシス刺激に耐性を示したが、cyt c-KI胸腺細胞は対照と同程度のアポトーシスを起こし、胸腺ではcyt cが必須でないことが示された
ただし、Apaf-1ノックアウト胸腺細胞はアポトーシスに耐性を示し、Bcl-2はこのアポトーシスを抑制できる
このように、胸腺細胞では、Apaf-1依存的かつBcl-2感受性であるが、cyt c非依存的なシグナルが流れていることが示されており intrinsic pathwayにも多様性が存在することが示唆されている